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映画 ふたりはプリキュア Sprash Star チクタク危機一髪! [プリキュア劇場版]

昨日6月10日は時の記念日です。
この日に相応しい作品をと思い、SS劇場版を昨日帰宅後から再見しました。
咲の性格が本編とかけ離れているように見えて違和感があったため、
この作品にも中々手が伸びず、見返すのもかなり久々なのですが、
深い内容に改めて感じ入った次第です。
仲の良さでは歴代随一とも言える咲と舞の間に走る深い亀裂、
時間が動いていく事の素晴らしさ、そして「ふたりはプリキュア」の総括ともいえる描写。
永遠の迷宮の恐ろしくも幻想的な美しさも目を惹く、短いながらも充実した作品です。
 
東映の映画開幕の定番、岩礁に砕ける波しぶきが消えやらぬうちに、
目覚まし時計の音がけたたましく響き渡ります。
朝8時。咲は無造作に目覚ましを止めて、再び安眠に落ちました。
おそらく9時に待ち合わせをしていたのでしょう。
待ち合わせ場所の広場の時計で、咲を待ちぼうけの舞。
咲はまだ寝ているのではないかというチョッピに、舞はまさかと返しますが、
本当にそのまさかです。咲は未だ深い眠りの中にありました。
そしてフラッピに乱暴に起された咲が時計を見ると、既に10時10分。
しばし間を置いて、咲の悲鳴のような叫びが青空の下に響き渡りました。

急いで支度をして走る咲。一方舞は待ちくたびれたのか、
広場の前の時計店へと向かいました。店内の大時計に目を奪われ、
店主の老人がネジを巻いたり手入れをするのを興味深く見守る舞。
咲は対照的に路地裏を走りぬけ、階段を登り、山道を文字通り転げ落ちて
大急ぎで待ち合わせ場所へと向かいます。
10時40分。咲が待ち合わせ場所に着いた時には、舞の姿はありません。
舞も遅刻かと勘繰る咲ですが、舞に限ってそんな事はありえません。
広場の時計を見て、寝坊したのは自分なのに時計が間違っていると決め付け
別の時計を探すべく向かいの時計店へと向かいました。
そして店内で舞を見つけた咲は、自分が遅れた事を棚に上げて、
舞が待ち合わせ場所に居なかった事を責め立てます。
『時間に遅れたのは咲の方じゃ・・・』
さすがの舞も閉口気味ですが、言い終わらないうちに咲は舞の手を引いて
慌しく駆け出して行きました。

2人は今日開催されるカラオケ大会に出場するつもりですが、
(というより咲が強引に舞を誘ったのですが・・・)
このままでは受付締め切りに間に合いそうもありません。
咲は近道と称して岩が転がる土手を下って行き、
その先は道というよりも川そのものです。
舞が戸惑ったり、咲の足について行けなくなるのもお構いなく、
咲は一人で先に進んで行きますが、川のほとりに出た時に
橋の上から背の高い男が声をかけてきました。
何十年、何百年と時を刻んできた時計を探しているという男に、
2人は先ほどの時計屋の古時計の事を教えます。
静かにそちらへ向かう男を見送った後我に返り、再び会場へと急ぐ2人。
しかし運動神経に優れた咲は順調に川を飛び越えていきますが、
舞はそうは行きません。舞を急かす咲、咲の態度に憮然とする舞。
少しずつ2人の間に微妙な空気が広がり始めます。
先ほど少し嫌な気配を感じたというフラッピに咲が応対している間に、
何とか川を渡り終えた舞は、咲に目もくれず先に向かいました。
『とりあえず急ごう』
その後姿と口調から、舞が相当怒っているようにも見受けられます。

そして先ほどの男は振る時計の前に立ち、
時計の郷への入口を見つけたとほくそ笑みます。

咲と舞が駆けつけたとき、既に出場受付は終了しています。
それでも渋る受付係りの人に頭を下げ続け、今回だけは特別だと認めてもらう事ができました。
咲は無事に受付を済ませられてすっかり上機嫌です。
『今日も絶好調ナリ!』
『・・・寝坊したのに、どうして絶好調なの?』
申し込みに間に合ったのではなく、受付の人の気遣いで認めてもらったというのに、
反省の色が無い咲に舞の疑問がぶつけられます。
『嫌なら嫌って言えばいいのに・・・』
咲らしからぬ陰口を聞いてしまった舞は、徐々に感情を露にぶつけました。
そんな事一言も言っていないし、反省して欲しい。
咲も負けじと、待ち合わせ場所に舞が居なかった事を指摘して、
互いに釈然としないまま2人の言い争いはヒートアップしていきます。
『おいおいどうした。健太か?いやケンカか?』
そこに通りかかった健太の寒いギャグは相変わらずですが、
この場を収めるのには少し効果がありました。
互いに目を背け、そして作り笑顔で健太に振り返って取り繕う咲と舞。
デュエットは2人の呼吸が大事で、楽しみにしていると言い残して健太が立去った後、
2人それぞれ顔を合わせず、共に目を伏せます。

向井亜紀とやえ丼というゲストを迎え、カラオケ大会が華々しく開幕します。
が、控え室で着替え中の咲と舞には気まずい空気が流れたまま。
そんなこんなでもカラオケ大会は進み、次は咲と舞の出番です。
いざ名前が呼ばれるとガチガチに緊張してしまい、
ガンバランスの前奏と共にステージに上がる舞は手と足が同時に出てしまって、
咲に至っては緊張で足が震えて転倒し、ステージを文字通り転げまわりました。
何とかマイクを手にしたものの、既に前奏は終わって曲は流れ続けています。
客席を前にすると余計声が出ず、歌詞を思い出す事すらできません。
『もうダメ・・・歌うなんて無理・・・』舞が引きつり、
『えーと・・・えーと・・・』咲がうろたえ、
すっかりテンパってしまった2人は、この時ばかりは息もぴったりで同時に叫びます。
『時間よ止まれ!』

突如、音楽が止まりました。いや音楽だけでなく、客席の人々も、
ステージ上の司会者も、そして鳥たちまでもが空中で制止しています。
すべてが止まった世界で動いているのは咲と舞、フラッピとチョッピ、ムープとフープだけ。
この異常事態でも、ウザイナーの気配がしないと見るや咲の緊張の糸は緩みまくりです。
この状況を楽しんでやりたい放題、いまのうちにアイスもらっちゃおうなどと
不謹慎な発言を漏らし、咎める舞との間に再びちょっとした言い合いになりました。
咲と舞の関係がおかしいのを、フラッピとチョッピも感じ始めます。

そして、時計店の古時計から光と共に何かが飛んで来て、会場近くに落下しました。
その者たち、亀みたいなアワーズと、ウサギみたいなミニッツを目にして驚き、
咲と舞はその後を追います。アワーズ達が向かう先はあの古時計。
そこにアワーズ達が吸い込まれるのを目の当たりにした咲と舞も、
同様に吸い込まれ、無数の時計が渦巻く世界を飛んで行きました。

やってきたのは無数の時計が地に埋まる時計の郷です。
ミニッツとアワーズは2人がついてきてしまった事に驚きながらも、簡単に事情を説明します。
世界の時を司るという無限の時計。その中央の砂時計はもうすぐ砂が落ちきりそうですが
時計の精霊たちが居ないと砂時計を治す事が出来ません。
突如現れたサーロインによって時計の精霊達は行方不明になり、
アワーズとミニッツは緑の郷へと飛ばされてしまったのでした。

そこにあの男が現れます。彼こそがサーロインであり、
強大な滅びの力と知能を持つパーフェクトな存在だと自画自賛しながら登場。
咲と舞がプリキュアであると見抜き、時計の郷への入口を見つけられたと慇懃に感謝します。
古時計の事を教えてしまったためにこの事態を招いてしまった事を知り、
素直に謝る舞とは裏腹に、咲はまたしても横槍を入れました。
『舞が余計な事言うから・・・』『教えたのは咲じゃない!?』
これまで手を取り合ってきた2人が責任の擦り付け合いを始め、どんどん険悪になる空気。
それでも当人達にはケンカをしているという自覚はまだありません。
ともあれ、砂が落ちきってしまえばすべての時間が完全に止まってしまい、
再び動かす手段も無くなってしまいます。
その世界で動く事が出来るのは、ただサーロインのみ。
『自分だけが良ければいいって言うの?』
『みんなの未来を奪おうって言うの?』
反発する2人に、サーロインの甘い囁きが響きます。
『君達、思ったことはないかね?ああ、このまま時間が止まってくれたら・・・』
それでも誘惑を振り切り、咲と舞は未来を守るべく変身します。

強力な光弾を放ち、動きも素早いサーロイン相手に
ブルームもイーグレットも分が悪く、翻弄され続けます。
それでも正面から挑みかかるブルーム、背後から踊りかかるイーグレット。
ところがサーロインに素早く身をかわされ、互いにぶつかり合って倒れてしまいました。
そこに光弾が投げ込まれ、2人とも手を広げて防ごうとしますが、
精霊の力が思うように出ません。光弾が炸裂し、
サーロインは終わったとばかりにカバンを拾い上げて余裕を見せます。
『伝説の戦士がこの程度とは、正直がっかりだよ』
立去ろうとするサーロインに、ミニッツとアワーズが挑みかかります。
無限の時計を動かさないと明日が来なくなってしまう。
しかし当然サーロインに敵う筈も無く軽々とあしらわれてしまいました。
『ならば君達に明日を与えてやろう。いつ終わるとも知れぬ、永遠の明日を・・・』
サーロインのカバンの中には、無限に広がる空間が広がっていました。
その中にミニッツとアワーズ、そしてブルームとイーグレットが、
ムープとフープもろとも吸い込まれていきました。

気がつくとそこは、階段や柱が入り組んだ奇妙な空間です。
永遠の迷宮。絶対に出る事の出来ないパーフェクトな迷宮と笑うサーロインの声を聞いても
ブルームは入って来られたならどこかに出口はあるとポジティブに構えました。
ともあれ、迷宮に閉じ込められている間にも砂時計の砂は落ち続けています。
早く進もうとしたその時、ムープとフープとはぐれてしまった事に気がつきました。
一方ムープとフープは、迷宮の中で歯車やネジといった時計の精霊たちと合流しますが、
閉じ込められている精霊たちも、誰も出口を知りません。
世界の時間は止まったまま、そして砂は刻々と落ち続けて行きます。

階段を登り、扉を開けると砂の海。違う扉を開けて中に入ると、再び続く階段。
そして扉を開けて出た先は別の砂丘。
いつ果てるとも知れない迷宮を彷徨っていると、
同じところを堂々巡りしているような錯覚に囚われます。
それでもイーグレットは絵を描くことで培った観察力か、微妙に異なる風景だと気付き、
一つの方向に、向かって行けばきっと出られると皆を励まします。
ところが迷宮に落ちた当初と異なり、ブルームはすっかりネガティブになっていました。
絶対に出られないとサーロインが言っていた事に言及して弱気な言葉を吐くブルームに、
イーグレットの顔がこわばり、そして言葉を荒げます。
『出口があるって言ったのは咲じゃない!』
『でも、ムープとフープも心配だし、こんな回りくどいやり方しなくても』
再び言い合いになってしまう2人。
イーグレットはブルームのいい加減さを責め、ブルームは何とかなると取り合いません。
そしてムープとフープを探すのが先というブルームと、
出口を探すのが先というイーグレットは完全に意見が分かれてしまいました。

感情的になってしまった2人の言い争いは平行線を辿り、話になりません。
ブルームはムープ達を探すと一人で砂丘へ歩みだしてしまい、フラッピが止めても聞きません。
取り残されたイーグレットは、何ともいえない表情で目を背け、俯きます。
本当はブルームもこんな事をしても良くないと解っているのでしょう。
それでも素直になれず、無言で下を向きながら砂丘を歩き続けます。
その頃イーグレットの前に、突如ウザイナーの巨体が迫り・・・

ブルームはイーグレットの悲鳴を耳にして、急いで引き返し始めました。
砂に足を取られ、焦れば焦る程、思い通りには進めません。
イーグレットと共にいるチョッピが心配だと騒ぎ立てるフラッピ。
『チョッピだけじゃないでしょ。心配なのは、心配なのは・・・』

ウザイナーの攻撃で跳ね飛ばされたアワーズを助け出し、ようやく駆けつけたブルーム。
辺りを見回しますが、近くにイーグレットの姿は見当たりません。
まさか・・・
ブルームはフラッピの制止を振り切り、単身ウザイナーに挑みかかりますが、
精霊の力が思うように出ない今、あっさりと返り討ちに遭ってしまいました。
そしてイーグレットは、実は近くの扉の中に隠れており、
ブルームがやられるのを、ただ怯えながら見ることしか出来ません。
しかも扉が勝手に閉じてしまい、再び異空間へと閉じ込められてしまいました。
ブルームを倒したと思ったのか、そのまま立去るウザイナー。

アワーズに助け起されたブルームは、精霊の力がかなり弱くなっている事を実感しています。
しかし、それはこの世界が原因なのではなく、心に迷いや不安がある故の事でした。
プリキュアは二人一緒じゃないと力を発揮できない、フラッピはそう指摘します。
ところでイーグレットの行方は、アワーズも急に襲われたために解りません。
きっとミニッツと一緒だから早く探しに行こうと言うアワーズに対し、
ブルームはやられてしまったのでは、と弱気な心を拭う事ができません。
『私のせいだ・・・私が、あんな・・・』
弱気と迷いは変身を解かせてしまいました。
ブルームの姿から、咲の姿へと、意図せずして戻ってしまった事に動揺が走ります。

迷宮の中で俯いたままのイーグレットに、探しに行かないのかと問うミニッツ。
しかしイーグレットはブルームを見捨てた事を悔やみ、動く事が出来ません。
『ブルームにもしもの事があったら、私・・・』
そしてイーグレットも同様、舞の姿へと戻ってしまいました。

咲は舞と初めて出会った日の事、5年前の夏祭りの日を思い出します。
しかし、幼い舞に相対しているのは14歳の咲。
『誰・・・?』
後ずさりし、怯えたような目を向ける幼い舞に、咲の不安は隠せません。
舞との距離がとても遠く感じられます。
そして舞も同じ日の事を思い出していました。
14歳の舞を見上げる幼い咲の目は、知らない人を見るような目です。
そして走り去る幼い咲を、舞は追うことが出来ません。
2人とも、後悔に苛まれています。

膝を抱える咲に呼びかけるフラッピの声は、とても遠くから聞こえてくるような気がします。
『私、一人になっちゃった。もう変身する力もないし迷宮からも出られない。一人でどうしたら・・・』
弱気な咲を、フラッピが叱咤します。
どこかで待っている舞を、咲が信じなくてどうするのか。
そしてアワーズも、ミニッツを一緒に探して欲しいと悲痛な訴えをぶつけますが、
それでも咲は動けません。
『あの子の事心配じゃないのか?』『心配だけど・・・』
『だったら立てよ!何かあったら助けに行く。それが友達だろ!?』

うなだれる舞に呼びかけるチョッピの声も、とても遠くから響いてくるような気がします。
『私達の未来ってどんなだろう。私、ずっと絵を描いていられたらいいと思っていた』
そんな舞に、無限の可能性があると気付かせてくれたのは咲です。でも、今は・・・
『咲と出会えて、本当に楽しかった。でも、もう・・・』
ミニッツは舞になんで探しに行かないのかと素朴な疑問を投げかけます。
『だけど咲と私はもう、友達じゃないかもしれない。きっと嫌われて・・・』
及び腰の舞に、ミニッツはのんびりした口調ながら、的確な一言をかけました。
『大事なのは、どう思われているかじゃなくて、君がどうしたいかじゃないの?』
のんびり屋のミニッツは、せっかちなアワーズにいつも怒られてばかりですが、
それでもアワーズの事が好きだと言います。
舞も、咲とこのままでいい筈がありません。
一緒に宿題をしたり、海の家を手伝ったり、お弁当を食べたりした日々がよぎります。

未だ立てない咲に、一人でもミニッツを探しに行くと言って泣きながら駆け出していくアワーズ。
ウザイナーに見つかるとしても、ミニッツに会えないよりマシだと泣き叫ぶ声を聞いて、
咲はフラッピに問いかけました。
『ねえフラッピ、またなれるかな?私、もう一度舞のパートナーになれるかな?』
フラッピに言われるまでも無く、舞のパートナーは咲しかありえません。
『咲に会いたいチョピ?舞』『うん・・・』
そして、チョッピに問われた舞のパートナーも咲しかありえません。
咲と舞は手を取り合った幼い日の事を思い出し、
互いの手を繋いだ掌に目を落としました。

心機一転、フラッピを抱えて走り出す咲。
走るアワーズに追いついて抱え上げ、舞の名を思いっきり叫びました。
舞はどこにいるのか解らないけど、もう咲の目は負けてはいません。
負けじとフラッピもチョッピを、アワーズもミニッツの名を叫び、
砂漠に互いを呼ぶ声がこだまします。

咲の声は、迷宮を行く舞に聞こえたような気がしました。
チョッピとミニッツには聞こえませんが、確かに舞には聞こえています。
『君には聞こえるんだよね。間違いないよ。
 あの子の声が真っ先に届くのは君意外にいないもの』
ミニッツに肯定され、チョッピに咲のパートナーは舞しかいないと言われ、
舞もまた大きく深呼吸して咲の名を叫びました。

扉を開けて迷宮に踏み込む咲にも、確かに舞の声が聞こえます。
咲の声は舞に届き、互いに声の方向へと名を呼びながら走り続ける2人。
呼び合う声はムープとフープにも聞こえ、そして遂に段差を隔てて相見える2人。
上から飛び降りる咲が、下から飛び上がる舞が互いに手を伸ばしますが、
その手は届きそうで届きません。
その時、ウザイナーに追われて時計の精霊とムープ、フープが乱入し、
災い転じて福と成す。みんなが再会を果たしました。
しかし喜ぶのも束の間、ウザイナーが襲い掛かってきます。
ところがウザイナーは体勢を崩し、転んだ弾みで髪が見事に落ちました。
『カツラだ』『カツラよね』『うん、カツララピ』『カツラかぁ』『あんた達言いすぎ』
ウザイナーのヅラの下、頭の上に扉があります。ひょっとして、あれが・・・?
『きっとあれが未来への。そして希望への扉よ』
咲はウザイナーの頭上に着地して取っ手を掴みますが一人の力では開きません。
しかし、もう咲は一人ではありません。取っ手に手を伸ばす舞の姿が目に入りました。
2人で取っ手に手をかけて、笑い合う咲と舞。
ウザイナーは足元から消え去り、そして開いた扉。
サーロインは戻ってきた咲と舞たちを呆然として見つめます。

アワーズとミニッツは時計の精霊たちを促して、急ぎ無限の時計へと向かいます。
それを阻もうとするサーロインを止めるフラッピたち。
サーロインはフラッピ達を払いのけ、咲と舞の周りを砂嵐で囲いました。
『迷路でおとなしくしていれば、痛い目に会わずにすんだものを!』
徐々に迫り来る砂の壁に囲まれた咲と舞ですが・・・

背中合わせに互いの名を呼び、互いに手を伸ばす2人。
『ごめんね、いつもいつも迷惑かけて・・・』
『嫌な思いさせて、ごめんなさい・・・』
手を繋ごうとして一瞬ためらうものの、しっかりと繋がれる手からは光が溢れ、
2人の姿は自然にブライト、ウィンディへと変って行きます。
『不思議・・・さっきまで怖くてたまらなかったのに』
『うん。怖くなくなっちゃった。凄いピンチなのに』
涙を浮かべながら、少しずつプリキュアの姿に変わっていく2人。
『でも、今までだってピンチはたくさんあったよね?』
『うん、全部一緒に乗り越えてきたよね?』
『私、きっとまた迷惑かけちゃうだろうけど、これからも舞と友達でいたい』
『私も、また咲に嫌な想いをさせちゃうかもしれないけど、これからもずっと一緒にいたい』
そして、完全にプリキュアの姿となった2人は、
目から溢れる涙と共に互いの手を強く握り締めました。
『舞と一緒なら、みんなを助けられる!』
『咲と一緒なら、何も怖くない!』
砂嵐を撥ね退けたブライトとウィンディが、サーロインに再び挑みます。

サーロインの光弾はブライトが精霊の力で受け止め、逆に弾き返し、
ウィンディの風の力は砂嵐の防護を突き破りサーロインを襲います。
ブライトの猛烈な反撃、そして光の力で目をくらませたところに、
ウィンディの鋭い蹴りが炸裂し、サーロインはがけ下へと転落して行きました。
歩み寄り、手を合わせるブライトとウィンディ。

しかしまだ終わりではなく、サーロインは巨大な牛の姿の本性を現しました。
たちまち跳ね飛ばされ、倒される2人。それでも2人は立ち上がります。
『みんなで力を合わせればどんな事だって出来る。
 みんなで励ましあえば、辛くてもがんばれるから!』
『一人一人は小さな力でも、みんなが手を取り合えば大きな力になるの!』
いくら力を合わせてももう未来は無いと一蹴するサーロインを憐れむように、
2人は悲しい目で涙を浮かべながら反論します。
『あなたが作ろうとしている未来って、孤独で独りよがりで、全然つまらない』
『あんたは世界でたった一人ぼっちなんだよ?信じられる相手も、誰もいないんだよ?』
みんなが居て、力を合わせるから素晴らしい未来を創ることができると
手を取り合って立ち上がる2人のスパイラルスタースプラッシュが炸裂します。

『俺は最強だ。集まらなければ何も出来ないくせに!』
サーロインに押し返されそうになる中、時計の精霊たち、時計からの力が加わります。
『確かに、あなたの方が強いかもしれない。私達は完璧じゃないから・・・』
『完璧じゃないから、足りないところを補い合って助け合うの!』
息が合わなくても、手を繋げば勇気が沸く。一人で無理でも、二人なら出来る。
そう、だからこそ・・・
『プリキュアは、二人なの!!』
ブライトとウィンディが、時計の精霊たちが懸命に力を込め、
無限の時計から浮かび上がる十二支の力も加わり、サーロインに襲い掛かります。
『この二人こそ、真のパーフェクトなコンビだったというのか?』
涙を浮かべながら踏ん張るブライトとウィンディの姿を目の当たりにしながら、
遂にサーロインは倒されました。

歯車が動き出し、砂時計は元に戻りました。そして・・・
『泣きすぎだよ舞』『でも、咲だっててそうじゃない』
『私は、別に・・・』
2人がどんな顔で泣いていたのか、それは分かりません。でも、もう泣く事などありません。
これからも2人で、笑って歩いて行ける事でしょう。
咲と舞に倣って手を繋ごうとアワーズに申し出るミニッツ。
照れながらも応じるアワーズを微笑ましく見守り、そして別れの時が訪れました。
アワーズは短針として、ミニッツは長針として、無限の時計に収まります。
そして時は動き出す・・・

咲と舞は気付いた時、ステージの上にいました。
時間が止まった時より少しだけ前、前奏のスタートからカラオケ大会が始まります。
今度こそ手を取り合い、ガンバランスを歌う咲と舞の歌声が会場に響き渡りました。


この作品の前半部分を見返す度に、いつもヒヤヒヤさせられます。
咲は全シリーズのプリキュア達の中でも特に「良い子」の印象が強く、
それだけに寝坊を反省する事も無く、不謹慎な発言を繰り返したり、
極端にネガティブになったりする描写を見ると、本当にこれが咲なのかと思えてきます。
一方、舞は本編とさほど性格が異なる事は少ないのですが、
咲に反発する台詞や、態度・表情から、相当頭に来ている事が伺え、
ただのケンカやすれ違いでは済まないような緊張感を醸し出しています。
本編では第8話で少し口論したり、第19話で少しすれ違ったりする程度で
非常に仲が良かった二人がここまで関係が悪化するのを見るのは少々キツいものがあります。

欠点が無いのが欠点と言っても良いほど、普段の咲には短所がありません。
そんな2人をケンカさせるために、今回のプロットを立てる際には苦労があった事でしょう。
結果として今作の咲に違和感を覚える事になってしまいますが、
前半部でも道路を横切る際にきちんと左右を見たり、
時計店の店主に丁寧に挨拶をしたりと、咲らしさはちゃんと描かれています。
これは今回のような一面が咲にもあるけれど、
今まで表に出てこなかっただけと解釈すべきものかもしれません。
現に寝起きが悪い事は本編でも何度か描かれていますし・・・

その点、舞の描かれ方は自然です。
やや及び腰な所があっても芯の強さがあり、間違った事にはきちんと反論する。
しかし咲に対して反論する際、いつもより口調が厳しかった事が仲違いの一因でしょうか。
私としては今回はどうみても咲に非があると思いますが、
舞に問題があるとすれば待ち合わせ場所に居なかった事ではなく、
咲に対する厳しい物言いだと思います。

咲と舞のケンカは普段が普段だけに、見ていてあまり気分の良い物ではありませんが、
だからこそ後半の描写が非常に引き立ちます。
手を取り合う前の段階でも互いを気遣う描写が印象的で、
チョッピをひたすら心配するフラッピに対しての
『チョッピだけじゃないでしょ。心配なのは、心配なのは・・・』
など、本当は咲=ブルームにも解っているのに素直になれない描写が光ります。
それでもウジウジと思い悩む咲が、アワーズの叫びを聞いて立ち上がる場面が
最もカタルシスを感じるワンシーンでしょう。
劇場版第一作でずっと本領を発揮できなかったなぎさ=ブラックが
反撃に転じた時のような爽快感は、戦闘場面ではなくこの場面で感じられました。

一方、舞が立ち上がるきっかけとなるミニッツの言葉は、
優しくとても印象に残ります。
人がどう思うかより、自分がどうしたいか。
こと人間関係においては他人の目や評価を気にしがちですし、
私自身も簡単に割り切れるものではありませんが、
他人の考えを完全に知ることなど出来ません。
そんな事に怯えるよりも、自分が思うことをすればいいという言葉に、
改めて感銘を受けた次第です。

そして今作を印象付ける最大の名シーンとして2度目の変身の描写は外せません。
静かに少しずつ変身していく姿は、咲と舞の涙と台詞、
少しためらいがちに手を繋いでからの安心感と相俟って大変美しく、
歴代最高の変身場面と言っても過言ではありません。

本来遅い筈の短針、亀のアワーズがせっかちで、
本来早い筈の長針、兎のミニッツがのんびりやというミスマッチなど、
ミニッツとアワーズ、そしてサーロインのキャラクターも立っており、
今回はゲストキャラクターが少なく抑えられている事が功を奏したように思えます。
本文中、サーロインの「甘い囁き」などと比喩しましたが、
そのまま速水さんの美声も活きており、キャスティングも嵌っています。

反面、本編のレギュラー陣で台詞があるのは健太だけで、
クラスメイトの面々や日向家、美翔家の皆さんも姿は見せても台詞はありません。
その健太にしても出番は短いのですが、的確な役割を与えられていました。
健太はケンカする咲と舞を目の当たりにしても、
『大丈夫・・・だよな、あいつらなら』と言い切れる等、
咲と舞の事を良く解っている人物を序盤に絡ませる事で、
必ずこの2人が和解できると確信させ、観ている側も安心感が感じられます。

ところで時間を止めるという、ザ・ワールドのような力に憧れた事もありますが、
今思えば前に進む事を拒否する行為だと気付かされました。
そして、それはプリキュアというシリーズにおいても同様です。
「ふたりはプリキュア」シリーズは円熟し、スプラッシュスターの完成度の高さは特筆されますが、
そこに留まるのではなく、プリキュアを続けるにはさらに先に進めなければなりませんでした。
「ふたりはプリキュア」との決別。
ファンとしては当時悲しい事でしたが、肯定的に受け止めなければ進化はありません。
劇中でブライトとウィンディが流す涙のうち、前述の2度目の美しい変身を遂げた後の
自信に満ちた、強い意志が伺える双眸から溢れる涙は、
まさにこの事を象徴しているように思えました。
咲と舞が、自分達の活躍がもうすぐ終わってしまう事を少し残念に思いながらも、
先代のMHの遺産を受け継ぎ、次のプリキュア5へ押し上げられた事を誇りに思っているような、
製作陣の想いを代弁しているような涙のように感じられました。

スプラッシュスターといえば美しい背景美術も特徴の一つです。
本編の美しい自然描写に引けを取らず、
今回の迷宮の世界と、無限の時計の機構美も印象的でした。
特に時空が捻じ曲がったように階段と扉が交錯し、
砂丘と扉、尖塔が入り混じる迷宮は、エッシャーの騙し絵をアニメで見ているようです。
ケニーGの作り出す迷宮や、デヴィット・ボウイ扮する魔王ジャレスの世界のような迷宮を
一度は歩いてみたいと思っている私にとって、この幻想的な世界観は何ともいえません。

満と薫が登場しないどころか、存在も匂わせない事がファンとしては少し残念な気もしましたが、
無理に絡ませると破綻してしますし、本編ラストでは満と薫が大活躍するので、
この作品はあくまで咲と舞、ふたりだけの物語だと割り切ることにします。
むしろ4人の結末だった本編最終回に対して、
2人だけの物語の結末を見る事が出来て良かったと思いました。
色々な意味で本編とは異なる、もう一つの「ふたりは」プリキュアの最終回を見たような
充実した手ごたえを感じ取る事が出来ました。
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