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魔法つかいプリキュア! 第20話『ドタバタでヤバスギ!魔法界に生まれたエメラルド!』 [魔法つかいプリキュア!]

 並行視聴中の他作品同様、この魔法つかいプリキュアも中盤の修羅場を迎えます。ところが、みらいとリコの、文字通り「ドタバタ」な前半が何とも言えない魅力を醸し出す一編。校長と闇の魔法使い達が火花を散らすのとは対照的な温度差が楽しめます。
 ・・・と思いきやドクロクシーの素性が語られ始めてからは一気に深くなって行き・・・
 みらいとリコを見つめる校長の苦悩はいかばかりか。そして闇の魔法使い達の矜持も垣間見えてきます。
  
 眠ったままのはーちゃんを案じながら、みらいとリコは校長に会うため、扉に手を掛けます。その校長は、ドクロクシーの元へ静かに歩みを進めていました。
『やっと見つけたぞ。そなたがエメラルドを狙う者達の主、ドクロクシーだな』

 みらいとリコが意を決して扉を開けようとした時、モフルンのお腹が鳴り、一気に緊張感が解けました。どうもさきほどはーちゃんが食べていたグレープが気になっていたようです。気を取り直して扉を開き、中へと足を進めると・・・そこは魔法商店街でした。

 校長は水晶さんの占いでようやくこの場所を突き止め、悪の魔法で世界の平和を脅かすならば見逃さないと、強い決意と覚悟を胸に、ドクロクシーと相対します。
『ここは通しません。ドクロクシー様にエメラルドをお持ちするのが私の使命。それまでは倒れる訳には行かないのです!』
 そこに前回一命を取り留めたバッティが割って入りました。校長に杖を向け、一触即発の状態です。

 その緊張感は、魔法商店街でグレープの酸っぱさに悲鳴を上げるみらいとモフルンによってブッ飛びました(笑)。気を取り直し、改めて校長を探すべく扉へ戻ります。モフルンが今度は甘いものが食べたいなどと言っておりますが・・・。扉の行く手は、イチゴメロンパンのワゴンが停まっている、津成木町の公園でした。
 一度は呆れたリコですが、先ほどはモフルンがグレープを、今度はみらいがイチゴメロンパンを食べたいと思ったと聞いて閃きました。
『この扉はきっと、頭の中に思い浮かべた場所へ連れて行ってくれるのよ』
 今度は校長のことをしっかりと思い浮かべて扉へ向かいます。そして一歩踏み出し、にこやかに呼びかけました。
『校長先生~♥』

 バッティと対峙する校長。見守るヤモー。奥に鎮座するドクロクシー。怪しげな液体が煮えたぎる釜。
 緊迫した場面を前に、にこやかな表情のまま固まった二人は、そのまま後ずさりして扉へ戻りました。
『なな・・・何あれぇぇええッ!?』びびびびっくりしたー!!』

 校長が体術でバッティと渡り合っているところに、再びみらいとリコが遠慮がちに戻って来ました。
『あはは・・・す・・・すみませーん』『し・・・失礼しまーす』
 直後、扉が消えました。もう後戻りはできません。そして目の前にいるのがドクロクシーだと知り、二人の表情が一変します。ドクロクシーも二人がスマホンを持っていることを察し、ヤモーが身を案じるのを他所に、飛んで火にいる夏の虫とばかりに闇の魔法を放ちました。それを校長の杖が防ぎます。
『大事な生徒達に手出しはさせぬ』
 そしてドクロクシーの魔法を見た校長は、相手の正体を確信しました。
『奴は儂が止める。それが定めだったのじゃ』
 続くドクロクシーの声を聞いて、校長は確信を更に深めます。

 遥か昔に禁じられた禁断の力・闇の魔法を蘇らせ、使いこなせる逸材は他におりません。歴代の魔法学校教師の中で最も優れた魔法使いと称された者。そして、校長の親友だった者、クシィ。
『クシィよ、思い出すのじゃ!はるか昔、我らはいずれ訪れるという大きな災いについて調べていた』
 変わり果てた姿になった友に、校長は思い出と共に呼びかけます。力を合わせて獣と戦い、切り立つ岩山を登ってリポビタンDのCMに出たり、苦難の旅の果てに石板を紐解き、そして災いを回避するためにエメラルドが必要だとわかった、若き日の出来事。しかしエメラルドは見つからず、代わる力を求めて、クシィは危険な魔法の書物を集めて研究に手を染めたのでした。
『禁断の魔法を研究しその果てに・・・クシィ。そなたは、命を落とした筈!』
 
 その問いは、ヤモーがドクロクシーに代わって答えます。
『ドクロクシー様にはもはや人としての魂はあらず。あるのはこの世に留まりし強い欲望。強き力を手にすると言う欲の念が、闇の魔法によりかりそめの身体に残された。エメラルドがあればドクロクシー様と闇の魔法は完璧となる!』
『我は闇の魔法の使い手なり』
 ヤモーの答えとドクロクシーの反応を見て、どこか校長は無念そうです。
『話しても無駄というわけか・・・ならば!』
 迷いを振り払うように杖を打ち付けると、魔法陣が広がります。
『キュアップラパパ!』
 長い間、自ら封じていた魔法を校長がついに解き放ちました。マントと帽子を纏い、ドクロクシーに向けて光の魔法を放ちます。

 その魔法は途中で遮られました。バッティが主君を守るべく、横から魔法を撃っています。
『これ以上ドクロクシー様にお力を使わせるわけには・・・行かぬのだ!』
 しかし長年力を蓄えていた校長の魔力に圧し負け、バッティの杖が砕けます。校長も、その魔法をかつての友に向けることに葛藤しながら、再び闇を斬り割く光の魔法をドクロクシーへと放ちました。
 光の魔法と闇の魔法が拮抗します。袂を分かった友人同士の戦いには、ヤモーとバッティも、みらいとリコも立ち入る事が出来ません。
 そして、闇が光を上回りました。辺りに土煙が立ち込めます。

 煙が晴れ、倒れて呻く校長に駆け寄ったみらいとリコは、驚きの光景を目にしました。
『おじいさんになったモフー!!』
 校長は老人と化しています。ついでに水晶さんも・・・(笑)
『こっちはおばあさんモフー!!』

 さすがにドクロクシーも疲労した様子。それでもみらいとリコからあっさりスマホンを奪い取りました。
『小さき命を宿せし書物、それは大いなる輝きを得ることを許された者の証。リンクルスマホンの伝説の一文、ご存じなかったようですね』
 ドクロクシーに代わって勝ち誇るヤモーの言葉は、みらいとリコには全く関係ありません。二人が思うのは、ただスマホンの中で眠るはーちゃんの事のみ。
『はーちゃんを』『返して!!』
 顔を見合わせて頷き、ルビースタイルへと変身します。

 ドクロクシーが二人の攻撃を魔法の盾で弾くと、反作用の暴風が周囲に吹き付け、ヤモーとバッティも吹き飛ばされます。
『まずいですよ!これ以上魔法を使えばお力が・・・』
 ドクロクシーの魔力に対する畏怖と同時に、その身を案じるしもべたち。しかし弱っているとはいえドクロクシーの闇の魔力は強大で、ルビースタイルのパワーを寄せ付けません。倒れた二人にドクロクシーの魔法が迫ります。それを校長が残る力を振り絞って阻止しますが、老いた身では敵わず、押し切られてしまいました。

『まだじゃ。この命尽きようとも皆を守る。それが儂の・・・』
 身を犠牲にする覚悟を持つ校長に、ミラクルとマジカルは、皆が校長の帰りを心配して待っていると呼びかけます。そして補習で学び、身に着けた経験を思い出しながら、懸命に立ち上がろうと力を込めます。
 何よりもまず行動。どんな状況でも負けない心。これによって、補習の数々を乗り越えてきました。
 そして魔法学校だけでなく、リコはナシマホウ界でも多くの事を学んできました。特に、色々な人がいて色々な考え方があると言う事を。
 もっと学びたい。そのためには、はーちゃんを加えたみんなと、一緒に戻らなければならないと、二人は力を振り絞ります。
『だからはーちゃんを!』『返して!』
 魔法界の木が反応し、ざわめき始めました。モフルンがとても甘いにおいを嗅ぎつけます。同時にドクロクシーもエメラルドの気配を察したようですが・・・そのドクロクシーに向けて、ルビーパッショナーレを放ちます。
 
 しかしルビーパッショナーレは途中で遮られました。ドクロクシーの魔法によって、その場の全員が、今まさにエメラルドが現れようとしている木のふもとへと瞬時に移動させられます。魔法界の力が一点に集まり、エメラルドが姿を表そうとしています。
 ヤモーと校長が呉越同舟でその光景を見つめる中、モフルンの持つダイヤと、二人のルビーが吸い寄せられ、変身が解けてしまいました。リンクルストーンが全て集まった中央に、遂に命のリンクルストーン・エメラルドが姿を現します。

『あれが・・・あれこそが・・・ドクロクシー様が求めていた力・・・』
 バッティは吸い寄せられるようにエメラルドに手を伸ばします。しかし、闇を退ける力を持つエメラルドに触れること叶わず、そのまま力に呑まれて消滅してしまいました。
 バッティを喪い一瞬同様したヤモーですが、すぐに冷静さを取り戻し、エメラルドの力を得るためにスマホンへと目を向けます。

『魔法よ、入れ』
 闇の魔法使いの「魔法、入りました」を、親玉ドクロクシ―自らがやってのけました。闇の魔道書にスマホンとエメラルドを収めると、ドクロクシー自らが強大な闇に包まれて行きます。
『今、エメラルドの輝きは闇の力の糧となった!光をも飲み込む闇。これぞドクロクシー様が求めた究極の魔法!』
 ドクロクシーがエメラルドの力を得た事に成功したのを目の当たりにし、感極まるヤモー。対して暗く染まった空を不安そうに見上げる魔法界の人々。
 そして、闇の下から、ドクロクシーが某エスタークのような兇悪な姿となって現れます。


 まず、今回はバッティとヤモーに惹かれた一編でした。
 正直、私のこの両者に対する第一印象はあまり良いとは言えず、ネタ的魅力があったガメッツさんより印象が薄かったです。しかしこうして最終回まで観終えた状態で再視聴を続けていくと、むしろガメッツさん以上に魅力あるキャラクターだったと再認識しました。
 この両名には私心はありません。ただ主君ドクロクシーへの忠義だけが目的です。これは、彼らを生み出したドクロクシー=クシィもまた、手段を誤ったとはいえ災厄に対抗したいという信念が揺るぎなかったからこそ、しもべ達にも主の性格が継承されているのでしょう。もっとも「力」を追い求めたのはガメッツさんに、功を焦ったのはスパルダに受け継がれてしまったのかもしれませんが・・・。とはいえ、敵側に見るべきドラマがあると、ストーリーが彩りを添えてくれます。

 バッティは前回深手を負ったにもかかわらず、校長からドクロクシーを守るために奮闘する様から目を惹きつけられます。 
『ここは通しません。ドクロクシー様にエメラルドをお持ちするのが私の使命。それまでは倒れる訳には行かないのです!』
 校長に向き合った際の台詞は、知らぬ人が読んだら悪役のものとは思えません。そしてドクロクシーの存在に疑念を抱いていた頃の彼とも別人のようです。彼は敵ではありますが、恥を知る事が出来る人物です。主君に疑いを抱いた事を悔い、その責任を果たすような潔さが、今回のバッティから見て取れます。その姿勢は、自分が強い相手と満足いく戦いをしたいというガメッツさん以上に、「武人」と呼ぶにふさわしいと感じました。
 また、校長がドクロクシーに向けた魔法を横から妨害する場面でも、バッティは自分の力が及ばぬ事を知りながら、強大な相手に立ち向かっているように見えます。これは例えばヨクバールや敵幹部の攻撃がミラクルとマジカルへ向けられた際に、モフルンやはーちゃんが二人のために必死に頑張る行動と、本質的には同じです。モフルンはみらいが愛情持って接したことが、自我を持つきっかけとなり、はーちゃんはみらいとリコがそれこそ母のように大切に育て上げてきました。モフルンとはーちゃんにとって、みらいとリコは命をくれた存在そのものと言えます。それはバッティにとっても、ドクロクシーが命をくれた存在です。
 バッティとプリキュアは、どちらも守るべき者のために戦っています。だからこそ、バッティとプリキュア達が(この時点で)分かり合えない事が、戦いの難しさを表しているように思えました。

 それだけにバッティの最期は衝撃的でした。まさか、あのような形で(一時)退場するとは・・・。これも悪役にありがちな、エメラルドのパワーを自分のものにしてドクロクシーを出し抜こうと言うものではありません。純粋にドクロクシーに献上するために手を伸ばした事が災いとなってしまいました。ただ犬死にではなかったことが救いだと思います。
 思えばヤモーはスパルダ退場時にドライな反応を見せたり、パワハラのような圧力をかけたりと、闇の魔法使い達には冷たく接していました。またこの後のエピソードで描かれて行きますが、行動の全てはドクロクシーのためにあり、そのために他を犠牲にしても構わないというような性格付けをされています。
 そのヤモーがバッティの最期を目の当たりにした時、「バッティさん!」と悲痛な声で叫んだのが強く印象に残ります。冷たいように見えても、馴れ合いではない彼らだけの関係性というものが確かに存在したと感じました。その直後、スマホンを媒介する事でエメラルドの力を手に入れられると冷静に分析するあたり、参謀としての優れた力量を伺えます。
 これは私の妄想かもしれませんが、バッティの犠牲を無駄にしないために最善の方法を考えたと見ることも出来ます。

 なお、私の中で予想以上にバッティとヤモーの株が上がってしまったのですが、いまさら「さん」付けするのもアレなので、今までどおり彼らは呼び捨てで踏襲して行きます。(最終回で別の呼称をつける可能性はありますが、それはまた後の話)

 この話を見返す前までは、てっきり校長メインで語る事になると思ったのに予想外ですが、本放送時に気付かなかった感想を抱けるところが再視聴の面白いところです。
 ということで、次は校長とクシィに触れて行きます。他の感想サイト様でも見受けた見解で、公式もそのようなニュアンスを込めているらしいですが、この二人の関係は、みらいとリコがボタンを掛け違えた場合に起こり得る将来を描いています。共に手を取り合い切磋琢磨した二人が、いつしか道を違え、再び相見えた時には価値観の相違が埋められない程大きくなってしまう。これは現実でもあることで、現に私も十数年ぶりに会った旧友がこんなに変わってしまったのかと驚いた事があります。他の人が私を見ても、同じように思っているかもしれません。
 埋められないほど長い月日を経た二人の再会は、とりわけ校長にとっては辛いものでしょう。来るべき災いに備えて魔法を一切使わず、己を律して蓄えた力を、旧友に使わざるを得ない心境は察して余りあります。ただの「キュアップ・ラパパ」にどんな意味を込めたのでしょうか・・・
 もし、道を踏み外してしまったみらいにリコが、または過ちを犯したリコにみらいが、それぞれ魔法を向けることになったらどんな思いを抱いてしまうのか。人は年を取るにつれて多くの別れを経験し、悲しみへの耐性が付くと言いますが、それでも辛いものは辛いです。力を使い果たした校長が一気に老化したのは、魔力だけでなく心労もあったように思えました。

 ミラクルとマジカルは、今回補習やナシマホウ界での経験を回想しながら「世の中にはいろんな人がいていろんな考え方がある」という想いと共に立ち上がります。しかし、いろんな考え方がある事を知っても、その考え方に共感したり、理解できるという事ではありません。それはドクロクシーと分かり合えなかった事からも見て取れます。
 二人にとってドクロクシーは、主義主張はどうあれはーちゃんを奪った相手。ただ返して欲しいだけです。そこにドクロクシーの主張を聞き入れる余地はありません。ドクロクシーとしてもそれは同じで、ただ災厄に備える(という思いの残留思念)を妨害する者としてプリキュア達が映っている筈です。
 どちらも信念はあるのに、それが噛み合わないという皮肉。現実の戦争も、互いに国家の大義名分がぶつかり合うものです。自国の信念を疑ってかかるものではありません。魔法界とナシマホウ界、二つの世界の架け橋となったみらいとリコでも、この時点で闇の魔法使い陣営とは分かりあう事が出来ませんでした。今ははーちゃんを取り戻す事が第一というのは、少女にとっては当然です。
「地球のためみんなのため それもいいけど忘れちゃいけない事あるんじゃないの」
 初代EDの歌詞にある通り、大義名分よりも自分達が正しいと思う事を貫くのが彼女達です。

 やたらと堅苦しくなってしまいましたが、まさかこんな感想になるとは私も予想外でした。
 前半のグレープやイチゴメロンパンの描写や、そのまま後ずさりして扉に戻る描写のインパクトが強く、また真面目な展開でもモフルンの『おじいさんになったモフー!!』『こっちはおばあさんモフー!!』に笑わせてもらい、戦いを緩和する軟い雰囲気だったかと思っておりましたので・・・
 あと、後に在りし日のクシィが登場する話がありますが、ドクロクシーとは全く声が違うのになぜ校長が分かったのかというツッコミどころもありました。最初は秋元さんが演じ分けをしてくれるのかと思っておりましたが、さすがに渋すぎましたかね・・・

 校長の説明台詞がやや長いなど、若干気になる手もありましたが、特に敵側でこれだけ考えさせる展開は興味深く、中盤の山を盛り上げるに十分な一編だったと思います。
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