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Go!プリンセスプリキュア 第36話『波立つ心・・・!みなみの守りたいもの!』 [Go!プリンセスプリキュア]

 女子が活躍するアニメだけに、少し年上の女性が影響を及ぼすという展開があってもおかしくないのですが、家族以外の大人の女性がプリキュアの人生に関わるのは、意外と少ないです。
 例を挙げると、初代というよりMHにおけるアカネさんと、フレッシュのミユキさん(じゅうななさい)くらいでしょうか。
 その少ない先例の二人がレギュラーだった事を考えると、今回登場する北風あすかさんの特異性が際立ちます。彼女との出会いによって、海藤みなみの人生は、大きく舵を切ることになりました。
  
 海藤家主催の豪華客船パーティに招かれたはるか達。
 久々に両親と再開したみなみに、わたるお兄様を交えた海藤家の団欒風景は、はるかやゆいちゃんだけでなく、きららさえも羨望の眼差しを向けるセレブオーラに満ちています。
 動じていないトワとカナタは流石と言うべきでしょうか。緊張して噛みまくるはるかと対照的に、記憶を失ったとは言え、カナタは優雅な立ち居振る舞いで海藤社長夫妻に丁重な挨拶をします。
 海藤夫妻も愛娘みなみの友人たちを快く受け入れます。
 本日のパーティは、みなみを海藤グループの一員として紹介するための晴れ舞台でもありました。

「シードリーム」という船の名には、ゲストに海で夢のような時間を過ごしてもらいたいという海藤つかさ社長の想いが込められています。プールに映画館、ダンスホールまで備えた船は、その名に相応しく、まさに海の夢の御殿。
 みなみは将来、海藤グループに入社して、この海藤社長や兄を補佐することが夢でした。
『私も両親や兄のように人の役に立てる人間になりたい。それが子供のころからの夢だったから』
 それは本人も周囲も疑う余地のない夢。今、この時までは―

 ティナの声に釣られて海へと目を向けると、ウィンドサーフィンでティナと並走する女性がいます。
 陸に上がった女性は、みなみが野生のイルカと仲が良いことに驚きながら、気さくに声をかけて来ます。彼女は北風あすか。海の生き物の獣医を務め、近くの水族館に呼ばれて来ていました。
 その仕事内容に俄然興味を掻き立てられるはるか達。パーティの準備があると及び腰だったみなみも、はるかに押し切られて付きあう事になりました。

 人生には時に予想もしない分疑点があるものです。これが彼女の人生を左右することになるとは、本人も誰も、思わなかったことでしょう。

 はるか達が巨大水槽の魚たちに目を奪われている間、あすかさんは真剣な目で魚たちの健康状態をチェックしています。みなみが少し動きの鈍い魚を指摘したことに驚きながら、水槽を見るみなみの眼差しに、感じ入るものがありました。

 アシカやカメと無邪気に振舞うはるか達の中で、みなみが細かく観察している姿をあすかさんは気にかけています。
 続けてペンギンに餌をあげました。餌を食べる姿の可愛さに魅了されるも、生餌の魚に対して可哀想な想いを抱いているはるか達を、あすかさんが諭します。
『そんな事言ってたら何も食べられなくなるよ。私たちは他の命をもらって生きている。魚だけじゃない。他の食べ物もそう。人も海もそうやって回っている。それは生きていく上であたりまえの事だ。だから「いただきます」「ごちそうさま」感謝の気持ちを忘れなければそれでいいのさ』
 言いながらあすかさんは食欲で体調を管理するためペンギンたちの食事量を記録しています。
『あすかさんがいるならこの子達は安心ですね』
 しかしあすかさんは、治療が上手く行かない時もあり、海も海の生き物もまだわからない事だらけで日々勉強だと言います。
『この子達を通して研究が進めば、数が減っている生き物たちを守る方法も見つかるかもしれないし』
『とてもやりがいのある仕事ですね』
 真剣な眼差しを向けるみなみに、あすかさんはふと問いかけました。
『興味ある?みなみちゃんもどう?この仕事向いている気がするけど』
 おそらく予想していなかった問いかけに、みなみの心にさざ波が立ちました。

 舞台は豪華客船へと移り、パーティが始まります。一座に紹介されたみなみの、海風に揺れる一輪の花のような美しさに会場はざわめきました。
『近い将来、家族と、そして皆様と共にこの海藤グループで力を尽くしたいと思っています』
 壇上でスピーチしたみなみは、会場の後方、平服で出席しているあすかさんに気が付きます。実は彼女も世界的な海洋学者として、そして海藤グループへのヘッドハンティングの話で、海藤社長夫妻に招かれていました。
 しかし、あすかさんは答えは変わらないと辞退します。
『自分の心に忠実でありたいので』
『自分の、心・・・?』
 会社で力を尽くすのも立派な仕事だと認めた上で、色々な縛りで自分の夢を見失う事がある。そしてあすかさんは、常変わらぬ夢を口にしました。
『私は、海を知りたい。何にも囚われず、自分の目で見て自分の心と体で感じたい。だから、いつでも大海原へ飛び込めるように自由でありたいの』
 海のように澄んだ目で語るあすかさんの言葉が、みなみの心を波立てました。

 その頃人知れず、船にストップとフリーズが登場。一人甲板を歩くあすかさんに目をつけます。海を知りたいという彼女の夢を閉じ込め、ペンギンゼツボーグが生み出されました。
 そうとは知らず、パーティ会場では、心ここにあらずといった感じのみなみを気遣うはるかたち。ゼツボーグの声を聞いて甲板へ向かうと、暴れるゼツボーグと絶望の檻に閉ざされたあすかさんを目にしました。みなみを筆頭に、変身して立ち向かいます。

 この異常事態に驚く海藤社長。ゆいちゃんに逃げるよう促されるも、社長にもこの船とゲストを守る責任があると譲りません。
 しかしいくら社長とはいえ普通の人間。社長に迫る攻撃を、マーメイドが弾きました。
『お客様の避難を!この船は必ず守りますから!』
 それが愛娘だとは思いもしなかったことでしょう。ともあれ説得に応じて社長が避難した後、改めてゼツボーグとの戦いを繰り広げます。
 ゼツボーグの両腕をフローラとトゥインクルが受け止め、スカーレットが海へと蹴り飛ばします。海中で体勢を立て直したゼツボーグの、スクリューを狙う攻撃をマーメイドが防ぎました。
『この船にはみんなの幸せを願うお父様とお母様の夢が詰まっている。決して壊させはしないわ!』
 華麗な海中戦を繰り広げ、バブルリップルの泡でゼツボーグを包み込み、激しく海上へと蹴り上げるマーメイド。まさに海のプリンセスに相応しい戦いぶりです。
 続けてフローズンリップルで凍らせて動きを封じ、四人揃ってのエクラエスポワールで撃退。

 あすかさんの夢も無事に開放。彼女を抱きとめながら、マーメイドは「海を知りたい」と語った時の目を思い浮かべていました。目の前には、果てしない大海原が広がっています。

 無事に接岸した船の上で、みなみはあすかさんと言葉を交わします。
『またお会いできてうれしかったです』
『私も実は、あなたにもう一度会いたかったからパーティに来たんだ。海や海の生き物たちに惹かれてしまう、知りたいと思う。何ていうか、ちょっと似てる気がして、私と』
 ちょっと意表を突かれたようなみなみに、あすかさんは誘いの言葉をかけました。
『だからもしその気があるなら、いつか私と一緒に・・・』
 思わず手すりを握りしめるみなみをはぐらかすように、あすかさんはさらりとかわします。
『なーんて、ちょっと思ったんだけど。海藤グループで家族と一緒に働く。それがあなたの夢なんだよね?』
 みなみは、はい、とだけ答えて頷きます。
『素敵。立派な夢だ。そのドレスも良く似合ってる』
 それ以上、あすかさんは続けません。握手を交わし、別れる二人。
『ごきげんよう。あすかさん』
 甲板上ですれ違い、背中を向けて歩き出す二人。あすかさんは振り返りません。しかし、みなみは・・・振り返り、あすかさんの後ろ姿を見送る彼女の心に、波紋が広がります。


 まずは北風あすかさん。非常に魅力的なキャラクターです。
 冒頭で例に挙げた数少ない「大人の女性」でありながら、良い意味での子供らしい好奇心と純粋さが小気味よく、アカネさんに通じるきっぷの良さが、視聴後に実に爽やかな余韻を残します。
 もちろん容姿も魅力的で、その性格を体現したようなイケメンぶりもさることながら、どこか子供らしさを感じさせる「そばかす」、そしてウェットスーツ姿が妙にセクシーでたまりません(笑)。

 世界的な海洋学者という肩書を持つ獣医。どちらが本職なのかは、彼女にしてみればどちらも手段であり目的なのだと思います。
 海を知りたいという純粋な好奇心は海洋学者として、海の生き物を助けたいという使命感は獣医として、相互を補完し合うことが、彼女の性格と夢を形作っているのでしょう。
 もっとも好きな事をしているとはいえ、その厳しさも十分に理解しているところが、夢を追う事が単なる憧れではないと暗に知らしめています。
 ペンギンに生餌を与える場面で、あすかさんは命を奪わないと生きられない事を示唆しています。現に私たちは食肉過程を見る事はおろか、釣った魚をさばく事さえ行う機会が減っています。嘘か真か定かではありませんが、魚は切り身の姿で泳いでいるとさえ考えているお子様がいらっしゃるという話も耳にします。
 どんな生物でも何かの命をもらわなければ生きられない。それは罪ではありません。頂く命への感謝を表す「食育」の大切さを、生餌を与えるはるか達を通じて説教っぽくならずに伝える作りは見事でした。
 そして食育だけでなく、あすかさんの発言からは獣医としての壁と挫折を経て来たことも推察されます。治療が上手く行かない事もあるとみなみに語る際、具体的に何があったのか口にはしていません。しかし、救えなかった命と何度も向き合ってきた事があったはずです。医に携わる以上、それは避けて通る事ができません。
 獣医志望のブッキーと、医師志望の六花とかれんからは、人や動物を救うという「陽」の部分への憧れが見受けられます。しかしいつか夢を叶えてその職に就いた時に、「陰」を思い知らされる日は必ず訪れます。しかし辛い戦いや、悩み・迷いを経て大きく成長した彼女達なら、必ずそれを乗り越えられると、私信じてます(笑)。
 そしてあすかさんもまた、そういった事態を何度も乗り越え、何度も悩みながら今に至っているのでしょう。そうした悔しさを表に出さず、かつ現実の厳しさを淡々と語れるところに、彼女の器の大きさと、仕事への誇りが伺えました。

 私は子ども達や、私の業界へ夢を持って志望している若い人々に胸を張れるような職業に就いている幸運に恵まれていると思います。一方でその厳しさに日々翻弄され、最近は感想記事内で愚痴っぽいことを書く事が増えていました。それでも現実には将来に希望を持つ若い人々の前で不満を口にしないよう努めているつもりです。今回のあすかさんの姿勢に、私自身も改めて「夢」ってなんだったんだろうと見つめ直された気分です。
 あすかさんは会社組織に入ると色々なことに縛られ、夢を見失う可能性があると言っていました。確かにそういう一面もあります。私も会社組織で夢を叶えている以上、会社組織のしがらみや、やらねばならない事に縛られることは多々あります。しかし会社の力を借りて夢を叶えているのもまた事実。一概に悪いとは言い切れません。もっともあすかさんも、会社組織の否定を行っているわけではありません。彼女は自由な立場を追い求めているだけで、それが自分の心に嘘をつかないという、彼女の信念に繋がっています。

 ところで「北風あすか」という名前の意味も少し気にかかりました。
「みなみ」に対する「北」という意味でつけられたのかもしれませんが、それにしては「北風」とは少々冷たい印象を与える苗字です。
 海藤グループで働くという自分の道を信じて疑わなかったみなみに、不意に吹き付けた北風という意味合いという見方は穿ちすぎでしょうか。冷たい北風は痛みをもたらします。自分の夢を考え直す過程で、みなみはこの後の最終盤にかけて、今まで経験したことのない痛みを体験することになりました。それを踏まえてのネーミングなのかもしれません。
 一方、「あすか」という名前について。「明日香」と書くのであれば、未来や明日に繋がる印象を感じます。「飛鳥」と書くとすれば、飛ぶ鳥のような自由さを受けます。どちらも夢について迷いを経た先にある未来と、自由な生き方を暗示させているように思えました。

 さて未来といえば、今までのみなみメイン回では、主に彼女の「過去」(お化け嫌い、ティナとの出会い、キミマロなど)と、「現在」(生徒会長としての振る舞いや、年長者としての立場など)が主に描かれ、彼女の未来に言及したものは少なかったように思えます。
 ラストシーンで、みなみとあすかさんは背を向けて歩み出しました。人生におけるほんの一瞬、交錯しただけの出会いだった可能性もあります。現にあすかさんは、みなみをこれ以上誘う事無く、振りかえらずに歩いています。対するみなみは足を止めて振り返り、あすかさんの後ろ姿をいつまでも見送っています。この「振り返り」は、過去を見るものではありません。自分が考えた事も無い、まだ見ぬ未来を見せてくれたあすかさんを振り返ったものです。
 みなみの心に生じたざわめきは振幅を増して行きますが、それはまた、数話後の話。その時にまた見極めることにします。
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MP

今回、プリキュア一人一人に対する「夢」をメインにした話が登場。今回はみなみで、あすかの動物に対する行動が登場、これがみなみにも受け継がれ、最終回エピローグで適う事になります。

冒頭の豪華客船「シードリーム」はスゴイ!かなりの大きさです。こんなのに対抗出来るのは四葉か五星かも!
(現在の立神家はどうか)

今回のゲストの内、みなみの母を演じたのは篠原恵美さん。かつてセーラージュピターを演じ、その後れいか(ビューティ)の母・静子を演じて、2度も青戦士の母を演じました。あれから四半世紀たちますな。
(その後の再登場で、今度はナージャ&夏子&メロディがジュピターに)
by MP (2017-07-13 10:55) 

悩める父メフィスト

こんにちは。順調そうなご視聴・ご投稿になよりです。
この回あたりから、再視聴すると、エンディング曲の歌詞が心に染みますね。

あすかさんのキャラ描写はおっしゃる通りですね。気風の良さもですが 対象的な表情口調でペンギンの様子を記録しながら海への想い・自分への想いを訥々と語る場面。ここもBGMが印象的です:「誰かが想ってる」はハピネスチャージ初出の曲。44話での誠めぐでの使用が真っ先に思い出されます。

BGMは、ドキドキ初出の曲が何曲かありましたね、冒頭のセレブっぽい場面など。他の回ですが「大切な気持ち(ピアノ主体の6/8の曲)」も しばしば使われますね。

「あすか」という名前、某吹奏楽アニメでも 凄い先輩の名前でもありますね^^。

はるかの おのぼりさん的な描写も楽しいですね。こんな彼女が数話後には・・・
by 悩める父メフィスト (2017-07-15 20:08) 

スティクス

>MPさん
>四葉か五星かも!(現在の立神家はどうか)
「御子柴」というヤツもいました。忘れられがちですが(笑)

by スティクス (2017-07-16 22:11) 

スティクス

>悩める父メフィストさん
いつもありがとうございます。
あすかさんはかなりお気に入りのサブキャラになりました。
初代~MHまでのアカネさんもお気に入りで、年上(今の私より年下ですが)の女性がその立場から贈るアドバイスというのは心に響きます。

逆にBGMにはあまり意識をせずに再視聴していたので、もう一度観返してみますね。
某吹奏楽アニメの六花、もといあすか先輩は・・・確かに凄かったです(笑)
1期1話の時点では、まさかあのようなラスボスっぽいキャラになるとは思いもしませんでしたし。

>こんな彼女が数話後には・・・
あの話が近づいてくると、知っていてもドキドキしてきます。
by スティクス (2017-07-16 22:15) 

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